置賜獅子頭秘伝帖 8 伊佐沢ばば獅子編
今回は獅子宿の地元・・伊佐沢神社の獅子頭です。
先日、伊佐沢館久保地区の老人会の婆獅子の話をいたしましたが、
こちらが元祖婆獅子。
獅子舞関係者内では通称婆獅子と呼ばれています。
現在、伊佐沢神社で使われている獅子は総宮系の獅子。
この大きな獅子は拝殿で異彩を放っています。
歯の金箔が剥げて黒の漆の地肌が見え
江戸時代の習慣だった「お歯黒」のイメージを
重ねて婆獅子と呼ばれています。
しかし・・よく見れば素晴らしい名品の獅子頭。
木の葉眉の成田地区や五十川地区系獅子と共通
した様式と思われます。
明治時代、久保地区八幡神社が伊佐沢神社と合社され
移された獅子頭と思われます。
この獅子頭についてはほとんど記録が有りませんので
獅子彫り師の推測となります。
成田地区の文化人、彫刻家、工芸家であったといわれる
飯沢市之丞(いいざわ いちのじょう)作か、
彫刻家白兎の長谷部吉之助での可能性があると思います。
どう言う訳か、この獅子頭と類似している獅子は
成田の若宮八幡神社の獅子、五十川うん安(うんなん)
神社の獅子頭です。
前にご紹介した歌丸の獅子や飯豊の獅子頭にも共通した特長を持つ
獅子があるようです。
いずれも何故か八幡神社の獅子である事が共通点。
この獅子の形の特長に戻ります。
成田や五十川の獅子の造形と比較して
複雑なデザインです。
白馬の毛のタテガミで広い頭頂部は
見えませんがシワというか、こぶ状に仕上げられています。
目の下のコブも数多く複雑な表情を彫りこんでいます。
成田や五十川の獅子には見られません。
鼻の穴も巨大で唇もより肥大しダイナミックな造形です。
更に、この系統の獅子の特長である目の縁の赤い部分のニュアンスも大きく
飛び出した目を強調しています。
あごの軸もコブ無しの丸棒の様式もあり実に興味深い婆獅子・・。
内部の軸には珍しく角材も使われています。
軸の位置や形は獅子舞の姿勢やスタイルが影響して非常に繊細に
作られています。
獅子舞のこだわりが凝縮している部分なのです。
さて・・この婆獅子
お目にかかれるのは年に一度の伊佐沢神社例祭日。
神社関係者に願い出れば近くでご覧になれると思いますので、
是非一度お祭りにおいで下さいませ。
口を開けると・・
獅子宿燻亭3
獅子宿燻亭Prat3
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婆獅子アップ
金箔が擦れて消失していますが、もし復元すれば
迫力ある表情になるかと思います。
やや上向きに凝視する眼は愛嬌を感じますね。